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あれから5年

 2018年2月7日の早朝(7時半ごろ)のことです。
 朝食を食べていたら電話が鳴り、ご息女から「呼吸がないと母から電話があった。これからホームに駆けつける」との一報が入った。
 そばで聞いていた妻がペンと紙をくれ、何かをメモした(何を書いたか記憶がない。たぶん時間)。そしてすぐに竹内三郎さん(元・仮説社社長)と犬塚清和さん(当時・仮実研事務局)に電話。二人とも言葉少なく「わかった。すぐ行く」と。
 あれから5年。時々「自分はなにをやってきたか」と自問する。
 3年前から中学校の特別支援学級の補助員をはじめた。
 ガリ版の筆耕として勉強した三浦つとむさん(哲学者)じゃないが、隣接県の精神神経科の開業医たちの機関誌編集に携わり、そこで知り得た知見が活かせるかも……と思った。大学時代に仮実研のサークルに参加し、講演記録を作ったり特殊学級(当時はそう呼んでいた)で使う楽しい教材を作っていたことも重なって、教育現場で働くようになった。
 今では仮実研にも特別支援教育にかかわる人も多く、集会では分科会が設定されたり、メールでのサークルも行われている。でも、何かが違う。
 その違和感を相談したくても、鈴木敏英さん(名古屋・特別支援学級の教員)は一昨年に亡くなってしまった。また、最晩年まで「たのしい科学の伝統を引き継いでいく」とルネサンス高校用の教材ビデオを制作していた犬塚さんも亡くなった。やはり、自分の頭で考え行動していくしかないのだろう。

 仮実研内では教材(授業書)のデジタル化を検討している集団がいる。ボクもその一員として応援している。なぜなら、板倉先生から教わった〈たのしい科学〉という思想を実現したいからだ。それがボクにとっての第一で、仮説実験授業や授業書はその手立てにすぎないと思っている。
 また、竹内さんの呼びかけで「板倉聖宣著作・論文リスト」の作成にも協力している。ポケットにはいるくらいコンパクトな冊子にまとめて〈いつでも板倉先生の知恵といっしょ〉というものにしたいと思っている。
 言い訳になってしまうが、そういう活動をしているので蔵書の方は一向に進んでいない。しかし、板倉生誕祭(開催延期)を企画した際に考えていたいくつかのことは着実に成果を上げている。
 たとえば山路敏英:分子模型教育の歴史は自費出版の本にまとめられた(『〈原子・分子模型〉はどのようにして生まれたのか』仮説社扱い。machiyaは分子模型情報などを提供)。小林眞理子:海外向けた仮説実験授業の紹介は、コロナ渦で延期されていたが、英国科学教育協会年次大会(The ASE Annual Conference 2023)で発表されたし、板倉聖宣著作・論文リストも第1次案をまとめようとしている。
 ココ板研情報局も、思い出したようにしか書き込みしてないが、まだ閲覧してくれる方もいるようだ。ありがたい。
 仮実研には「誕生日レポート」という素敵な習慣がある。machiyaの誕生日は室長の本葬の日だが、それに倣ってみた。2023.2.12=34941

「監修:板倉聖宣」となっている一番古い本

 室長はいろいろな本を執筆したが,監修したり編集した本も多数あります。板倉千年会議の事務局の重弘忠晴さんの調査によると,「監修:板倉聖宣となっている一番古い本は『文化のとびらを開いた人々 世界の二十人』という本」だそうです。
世界の二十人の表紙
 実はこの本,1962(S37)年1月に学習研究社の『6年の学習』正月特大号第1付録として出た本で,『たの授』とほぼ同じ大きさの166ページの本です。
 子ども向けの本で,しかも付録なので,古本市場にも滅多にでてきませんが,実物写真があると,ひょんなところで出会うこともあるそうです。
 板倉千年会議では実物の収集をすすめ,次世代に受け継いでいけるデータづくりもはじめました。おもしろい記事がありましたら,またここで紹介します。ひっそりお楽しみ下さい。(33976/2022.05.19)
 

室長没後のこと(2)著作リスト

 5月2日は室長の誕生日でした。そこで作成中の著作リストなどの話を少し。
 単行本や連載のあった雑誌・研究誌まではリスト化できています。国会図書館のURLと関連させて,所蔵先を調べたりやデジタル化された内容が閲覧できたらいいなと思って進めています。また一方でそれら著作を集約していて,ゆくゆくはデジタル版の著作集を作る計画です。それとは別に,膨大な講演音源からエッセンスを集約した講演録もまとまりつつあります。

 思い出ばなし:板研が調布に引っ越した際,「本棚に並んでいる本を手に取りながら板倉先生に語ってもらう会」を企画したが,毎回脱線続きでうまくいかなかった。そうしたところ,棚に並んだ状態の蔵書の背文字を全て写真に撮り,そららの本についての談話を収めた『立花隆の書棚』という本の存在を知った。「先を越された」と思った。先日,「立花隆 最後の旅」と題したNHKのTV番組で立花の蔵書の行方を知った。5万冊を超える蔵書は「本の内容に興味がある人の手に渡るように」との遺志で古書店に譲渡されたそうだ。板倉先生の蔵書もリスト化が急務なのだが……。
プロフィール

 machiya

Author: machiya
 私立板倉研究室の室員(自称)です。

板倉研究室
室長の板倉聖宣さんは2018年2月7日に逝去されました。
現在は有志らがご自宅の書斎や書庫(=板倉研究室)で書架整理などの活動を行っています。
詳細は記事下の日付の後ろにあるCommentをクリックした先の「コメントの投稿」から問い合わせてください。

なお,左の青い文字にはリンクを付けています。

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